抄録

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一般演題1 (13:10〜14:10)

座長 山村 健一郎

九州大学病院 小児科


1. 内科的治療に難渋し5日間の血漿交換療法で改善した川崎病の8歳児例

 宝珠山 航(ほうしやま わたる)、二宮 涼、伴 英樹、本田 啓、平井 克樹

 熊本赤十字病院 小児科

 川崎病に対する血漿交換療法(PE)の終了時期に明確な基準はない。当院では近年インフリキシマブ(IFX)の導入以降、PEの施行例は減少し、施行しても3日で終了する症例が多かった。症例は8歳男児。免疫グロブリン療法(IVIG)4回、IFXを投与するも川崎病主要症状が5症状残存し、第11病日からPEを開始した。PE開始3日目以降症状の改善あり、体温やCRP、冠動脈所見などを参考に5日間施行した。複数の指標から病勢を判断し、PEの回数を検討する必要がある。


2. 川崎病の診断時点で冠動脈拡大を有する症例に対するインフリキシマブIFX併用の免疫グロブリンIVIG療法

 山川 佑輝(やまかわ ゆうき)、鍵山 慶之、大津 生利衣、高瀬 隆太、寺町 陽三

 久留米大学病院 小児科

 当院では2025年度より診断時に冠動脈拡大を伴う川崎病3例(1.5歳 +3.2SD(LCA)、2.9歳 +9.3SD(RCA)、4.4歳 +3.8SD(LCA))に対し、IVIG+IFX初回併用療法を行った。2例では1か月後に退縮したが、1例では巨大瘤が残存した。初回強化療法は有望である一方、全例に十分な効果を示すとは限らず、適応基準や薬剤選択、予後改善効果について多施設前向き研究が必要と考えられた。


3. 6か月未満の乳児川崎病における追加免疫グロブリン療法および1か月時冠動脈病変の予測因子

 堀之内 健祐(ほりのうち けんすけ)1)、上野 健太郎1)、祝迫 洋樹2)、下園 翼2)、川村 順平1)、櫨木 大祐2)、

 福重 寿郎2)、野村 裕一2)

 鹿児島大学病院 小児科1),鹿児島市立病院 小児科2)

 6か月未満の乳児川崎病(KD)は、免疫グロブリン(IVIG)不応および冠動脈病変(CAA)のリスクが高いとされる。6か月未満のKD 76例を対象に、追加IVIG、1か月時CAA(Z≧2.5)の予測因子を検討した。追加IVIGは22.4%で、予測因子は治療前CAA(OR 5.05)および好中球/リンパ球比(NLR)≧2.15(OR 5.93)であった。1か月時CAAは18.4%で、非CAA群に比べ治療前CAAが多く(p<0.001)、Alb低値(p=0.001)、追加IVIG率が高かった(p=0.002)。治療前CAAや強い炎症所見は予後に直結するため、厳密な経過観察が肝要である。


4. 冠動脈輝度変化はIVIG不応予測や冠動脈病変予測に有用か

 山下 尚人(やました なおと)、井福 俊允、中谷 圭吾

 県立宮崎病院 新生児科・小児科

 【背景】KD急性期には冠動脈壁エコー輝度増強がみられるが、その臨床的意義は明確ではない。IVIG治療前後の冠動脈壁輝度を定量化し、治療反応性および冠動脈病変との関連を検討した。【方法】KD96例の心エコー画像を後方視的に解析し、冠動脈壁の平均輝度をグレースケールで算出した。【結果】IVIG不応例および冠動脈病変合併例で輝度変化率に有意差はなかった。【結論】冠動脈輝度変化量によるIVIG不応や冠動脈病変のリスク層別化は困難であった。


5. 病日と冠動脈瘤発生リスクに応じた初期治療強化プロトコールの試み

 竹本 直輝(たけもと なおき)、伊波 徹

 那覇市立病院 小児科

 川崎病の冠動脈炎は病理所見上、7病日頃からの中膜水腫様変化から始まり、10病日頃には汎血管炎に至るとされている。それ以前に炎症を鎮静化することが合併症を抑制するために重要であり、10病日以降では発熱期間が長くなるほど冠動脈瘤のリスクが上がる。当院では初回心エコー所見やIVIG不応予測スコアの他に治療開始病日を勘案した治療プロトコールを試作し、以前からの治療と比較して冠動脈病変発生率が改善しており、まとめて報告する。


一般演題2(14:20〜15:20)

座長 宗内 淳

独立行政法人 地域医療機能推進機構 九州病院 小児循環器科


6. 遠隔期に冠動脈狭窄に対して血行再建を要した川崎病冠動脈瘤の2例

 詫間 青葉(たくま あおば)1)、長友 雄作1)、田中 惇史1)、松岡 良平1)、寺師 英子1)、平田 悠一郎1)、

 仲野 泰啓2)、城尾 邦彦3)、安東 勇介3)、山村 健一郎1)

 九州大学病院 小児科1)、九州大学病院循環器内科2)、九州大学病院心臓血管外科3)

 川崎病冠動脈病変(CAL)の遠隔期に狭窄・閉塞を認め、血行再建を行った2例を報告する。症例1は3歳発症男児、両側CAL形成。無症状であったが右冠動脈高度石灰化狭窄が進行し11歳でRotablator併用PCIを施行。症例2は1歳発症男児、両側CAL形成。8歳時にLMT閉塞とRCA狭窄を認め、12歳頃より易疲労、虚血進行に対し15歳でLADへのCABGを施行。いずれの血行再建も十分な体格を要し、虚血や症状を踏まえ時期や治療戦略を慎重に検討する必要がある。


7. 川崎病後の多発冠動脈狭窄に2回のCABG及びバルーン拡張をおこなった12歳女児の一例

 池田 英史(いけだ えいし)1),2)、山田 洸夢1)、大塚 雅和1)、桑原 義典2)

 長崎大学病院 小児科1)、長崎医療センター 小児科2)

 患児は1歳で川崎病を疑う発熱があり、3歳時に川崎病に罹患し、両側冠動脈病変を合併した。狭窄病変の増悪に伴う狭心症症状が出現し、7歳時に左内胸動脈から前下行枝へのCABG、9歳時に右内胸動脈から右冠動脈へのCABGを施行したが、12歳で狭心症発作が再度出現した。同年、RCAバイパス吻合部および左回旋枝へのPCIを行い、現在症状は消失している。今後の治療介入手段に関して相談したい。


8. FFR-CTと侵襲的虚血評価の乖離を認めた川崎病冠動脈瘤長期経過の1例

 小河 尚子(おがわ なおこ)、宗内 淳、田代 直子、五十嵐 大二、豊村 大亮、清水 大輔、杉谷 雄一郎、渡邉 まみ江

 独立行政法人 地域医療機能推進機構 九州病院 小児循環器科

 20歳男性。7歳時に非典型症状で川崎病を発症し、第8病日に解熱した。初回CAGでSeg2:9mm、Seg5-6:7mmの冠動脈瘤を認め抗血栓療法を開始した。臨床症状と定期的な画像評価では虚血は同定できなかった。発症12年後のFFR-CTで0.71と右冠動脈狭窄が疑われたため、心臓カテーテル検査を施行したが、RFR0.93、FFR0.81と陰性であった。石灰化を伴う冠動脈瘤ではFFR-CTが狭窄を過大評価する可能性があり、川崎病遠隔期評価には他の虚血評価法を併用したフォローが重要と考えられた。


9. 心臓弁膜症により著明な心不全症状を呈した男児例 ―次の一手をどうするか?―

 古野 憲司(ふるの けんじ)a、黒木 理恵a、江口 祥美a、三窪 亮二a、園田 有里a、長友 太郎a、倉岡 彩子b、

 賀来 典之c、山村 健一郎d

 福岡赤十字病院 小児科a、福岡市立こども病院 循環器科b、

 九州大学病院 救命救急センターc、九州大学 小児科d

 症例は月齢6男児。X年Y月21日に眼球結膜充血と不機嫌が出現し、23日に発熱した。26日も発熱つづくためかかりつけ医より当科に紹介された。川崎病主要症状は4症状で、心エコーでは右冠動脈が2.3mm(Z=2.94)と拡大し、moderate MR、mild ARを認めた。同日より厳重な水分管理の下、免疫グロブリンとプレドニンを開始した。PCRでSARS-CoV2陽性(抗原陰性)、約1か月前にBCGを接種していた。幸い2回のIVIGで解熱が得られたが、初期強化や2nd/3rd Lineの選択について議論したい。


10. CAA出現時の治療選択に苦慮した治療抵抗性川崎病の1例

 祝迫 洋樹(いわいざこ ひろき)、下園 翼、櫨木 大祐、福重 寿郎、野村 裕一

 鹿児島市立病院 小児科

 11か月男児。前医で3病日に川崎病(6項目合致、小林スコア 11点)と診断され、PSL併用での2回目のIVIGでも軽快せず、9病日に当院へ転院となった。IFX (3rd line)投与後は速やかに軽快しPSL 0.5mg/kg/dayまで減量し22病日に退院した。27病日の再診時、眼球結膜充血の再出現とCAA(RCA 3.2 mm (+5.1 SD)、LMT 3.3 mm(+4.8 SD))を認めたが発熱はなくCRP 0.26 mg/dLでありCsA (4th line)を開始した。36病日にCAAが進行し (RCA 3.5 mm(+5.7 SD)、LMT 4.3 mm (+7.1 SD))、IVIG (5th line)で症状は軽快した。CAAも改善傾向(RCA 2.6 mm(+3.6 SD)、LMT 2.8 mm(+3.5 SD))であり、45病日に退院した。軽度のCAAはあったが、発熱や炎症反応が乏しく、IVIGの再投与を躊躇したことが反省点であった。


一般演題3(15:30〜16:30)

座長: 古野 憲司

福岡赤十字病院 小児科


11. アスピリン固定薬疹を生じた2症例

 峰松 伸弥(みねまつ のぶや)、熊本 崇

 佐賀大学医学部附属病院 小児科

 アスピリン(ASA)は川崎病の初期治療として広く用いられるが、肝逸脱酵素上昇や皮疹を生じ、川崎病再燃との鑑別が問題となることがある。症例1:1歳男児。22病日に上下肢に直径約10mmの円形・境界明瞭で鱗屑を伴う紅斑が出現した。ASAをジピリダモールへ変更し皮疹は消退した。症例2:1歳男児。初期治療後、再発熱と肝逸脱酵素上昇に加え、両膝周囲に同様の皮疹を認めた。ASAをフルルビプロフェンへ変更後に皮疹は改善した。経過からASAによる固定薬疹と判断し、鑑別の要点を画像とともに報告する.


12. 非典型的な発疹を認めた川崎病?

 本村 秀樹(もとむら ひでき)、池田 英史、石橋 信弘、石橋 洋子、桑原義典

 国立病院機構 長崎医療センター 小児科

 川崎病の鑑別診断に薬疹があるが、確定診断は難しい。生後4ヶ月に川崎病罹患歴がある2歳女児。第4病日に紹介となった。発疹は膨隆しており、掻痒感も強く、川崎病として非典型的であった。冠動脈の輝度亢進と川崎病の診断基準を満たしたのでIVIG+ASA療法を開始した。IVIG追加、CyAで効果なく、IFX投与を行った。微熱が続くためPSLを投与して解熱した。発疹は色素沈着を残し、一部は痂皮化していた。


13. 切開排膿を要する咽後膿瘍を合併した川崎病の1例

 中野 亮(なかの りょう)1、吉兼由佳子2、片山美花1、岡田真人1、渡邊綱之輔1、小寺達朗1、平井貴彦1、中尾あい子1、坂口 崇1

 福岡大学筑紫病院小児科1、福岡大学小児科2

 9歳女児。発熱といびきを伴う咽頭痛で入院、頚部造影CTで左咽後水腫はあるものの膿瘍形成はなく、扁桃炎として抗菌薬静注を行い改善傾向にあった。その後川崎病症状が明らかとなり、呼吸状態の悪化とともに再発熱し、9病日にIVIGを行うと同時に、再検した造影CTにて増大した膿瘍形成を認め、切開排膿を行った。乳白色の膿からは菌は検出されなかった。切開排膿を要する咽後膿瘍を合併した川崎病症例は稀であり報告する。


14. 肺炎を契機に診断した再発性不全型川崎病の一例

 木下 湧暉(きのし たゆうき) 1)、宗内 淳 2)、平江 健二 1)、伊藤 創太郎 1)、佐脇 美和 1) 、小杉 雄二郎 1)、

 福島 直喜 1)

 中津市立中津市民病院小児科 1)、JCHO九州病院小児循環器科 2)

 川崎病では心外合併症として肺病変を伴うことがあり、急性期の約14%に胸部X線異常が報告されている。症例は川崎病既往のある2歳男児。発熱、咳嗽、経口摂取不良のため入院し、胸部X線で両側肺野に多発する網状影を認めた。細菌性肺炎として抗菌薬治療を開始したが解熱せず、結膜充血、発疹、手足の硬性浮腫が出現し不全型川崎病と診断した。大量免疫グロブリン療法を実施後に解熱し、主要徴候の改善とともに胸部X線所見も消失した。両側多発性病変など非定型的所見を認める場合には川崎病も念頭に置き、臨床経過を慎重に観察する必要がある。


15. 川崎病の治療経過中に一過性中枢性尿崩症を合併した1例

 小松 静野 (こまつ しずの)1、小川 将人1、濵口 貴弘2、牧村 美佳2、石井 雅宏1

 北九州総合病院 小児科1、国立病院機構 小倉医療センター 小児科2

 9か月男児。6病日に川崎病(KD)と診断しIVIGとASAで治療を行い、7病日に解熱した。第8病日から多飲と多量の低張尿を認めた。血清浸透圧は286 mOsm/kg、バゾプレシンは0.8 pg/mLと相対的低値だった。水制限試験では尿比重の上昇を認め腎性尿崩症は否定的であり、多飲多尿とAVP低値より一過性中枢性尿崩症(TDI)が疑われた。KDにTDIを合併した報告はなく、下垂体における血管炎で虚血や炎症が惹起され、TDIを合併したと考えられた。


特別講演(医師のみの参加に限定)(16:45〜17:55)

川崎病発見から65年 — 冠動脈障害の探究 —

津田 悦子 先生

国立循環器病研究センター 医療安全管理部

共催 Meiji Seikaファルマ株式会社

座長 北野 正尚

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児循環器内科


1. Meiji Seikaファルマ株式会社 製品紹介(16:45〜16:55)

2. 津田 悦子先生 講演(16:55〜17:55)

 川崎病は川崎富作博士により、1961 年に発見され、1967 年に論文発表され、その後、世界的にその発症が確認されている。半世紀にわたり、川崎病と川崎病による冠動脈障害の診断、治療について日本の研究者により多くの情報が発信されてきた。川崎病による冠動脈障害 (CAL; Coronary artery lesion)において、急性期の冠動脈瘤は、遠隔期に退縮、狭窄性病変(閉塞、局所性狭窄)に変化しうる。急性期の血管炎により冠動脈壁は障害を受け、血栓、血管壁の肥厚、石灰化が生じる。選択的冠動脈造影像、CT アンギオラフィー、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層法(OCT)の画像診断所見、病理所見を対比し、最近報告された論文から、これらの変化について考察する。また、冠動脈バイパス手術適応において、成人領域において施行されている血流予備量比 (FFR)、冠動脈血流予備能 (CFR)について、川崎病冠動脈障害での検査データや経皮的冠動脈形成術(PCI)について、自験例を提示する。 

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